国外財産調書 令和5年分の提出は1万3243件、総財産額6兆4897億円
2025/02/17
国税庁はこのほど、令和5年分(令和5年12月31日時点)の国外財産調書の提出状況を公表した。国外財産調書の提出制度は、平成26年1月(平成25年12月31日分)から施行され、今回で11年目の集計となる。
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令和5年分の国外財産調書の提出件数(令和6年7月1日までに提出されたもの)は1万3243件。前年分の1万2494件より749件の増加となった。国税局別の提出件数は、東京局8438件(63.7%)、大阪局1920件(14.5%)、名古屋局892件(6.7%)、その他1993件(15.0%)となっている。
総財産額は6兆4897億円で、前年分5兆7222億円より7675億円の増加となった。国税局別に見ると、東京局は前年分より7346億円多い5兆895億円で全体の78.4%を占めている。大阪局は6277億円(9.7%)、名古屋局2651億円(4.1%)、その他5074億円(7.8%)。
財産を種類別に見ると、「有価証券」が最も多く4兆905億円(63.0%)。次いで、「預貯金」8479億円(13.1%)、「建物」5064億円(7.8%)、「貸付金」1835億円(2.8%)、「土地」1620億円(2.5%)、「それ以外の財産」6993億円(10.8%)となっている。
なお、国外財産調書は、自主的に自己の情報を記載して提出するため、適正な提出を確保するために次のような特例措置等が設けられている。
① 加算税の軽減措置・・・提出された調書に記載された国外財産に係る所得税・相続税の申告漏れが生じたときであっても加算税を軽減(▲5%)
② 加算税の加重措置・・・調書の提出がない場合又は提出された調書に記載のない国外財産に係る所得税の申告漏れが生じたときには、加算税を加重(+5%)
③国外財産調書に記載すべき国外財産に関する書類の提示等がない場合の加算税の軽減措置または加重措置の特例
④ 罰則の適用・・・正当な理由なく期限内に提出がない場合又は虚偽記載の場合に、1年以下の懲役または50 万円以下の罰金
なお、国外財産調書の提出者および提出を要すると見込まれる者に対する令和5事務年度(令和5年7月~令和6年6月)における所得税および相続税の実地調査の結果、①の軽減措置を適用したのは168件、増差所得等金額は67億円。②の加重措置を適用した件数は303件、増差所得等金額は105億円だった。